老舗の料亭でのアルバイト
大学生の私は飲食チェーン店でアルバイトをしていました。
そこは着物を着ての仕事です。
私も最初は自分の着付けなんて出来なかったのですが、教えてもらうと案外出来るものです。
今では短時間で着付けが出来るようになりました。
ある時一緒にアルバイトをしていた友達から、他のお店で働かないかと誘われました。
友達は今のお店でも信頼されていてアルバイトなのにレジを任される程のポジションでしたから、他のお店で働く勧誘をしてきたことにまず驚き、そのお店の名前を聞いて2度驚きました。
そのお店は老舗の料亭で、私も行ったことすらないのですが、お店の評判は知っています。
友達はアルバイトを掛け持ちしており、老舗料亭で人手が足りないから誰かいないかと頼まれていたようです。
料亭ですから当然着物でのお仕事ですので、私達に声がかかったのでしょう。
仕事内容は今のお店と同じで、お客様から注文を頂き配膳するだけです。
時にはお酌もします。
仕事内容は同じでもアルバイト料にひかれ、私を含めて3人がお店を移りました。
老舗料亭だけにお客様もTVで見るような有名人が来ますし、一緒に働いている方々も大ベテランばかりです。
しばらくは緊張して作り笑顔がやっとです。
特におじさんの相手は疲れますね。
全然面白くない話を延々と聞かされるのも仕事とは言え、ストレスが溜まります。
そしか必ずプライベートな質問はオジサンの定番ですね。
身分はアルバイトだと言うと「えバイアグラ」って言われたことも何度もあります・・。
金目鯛しゃぶしゃぶの美味しさ
少し前、金目鯛のしゃぶしゃぶなるものを取り寄せたことがある。
私は子供の頃から魚介類が得意ではなく、ほとんど食わず嫌いで過ごしてきたので、あの癖のない鯛やヒラマサなんかの白身魚の刺身を食べられるようになったのもごく最近だ。
そんなわけだから、金目鯛も食わず嫌いをしていた。
私は食べるのではなく、魚という生き物が好きなので、図鑑をよく眺めてその神秘に嘆息しているのだが、そのおかげで金目鯛が深海魚ということをよく心得ていた。
あの赤い体色や際立って大きな瞳なんかも、偏に深海生物であるが故の機能であることも知っていた。
そして、昔給食で食べた白身のフライがことごとく安い深海魚であったということと、その給食でのフライが一度運悪く半生で、あやうく吐き出しそうになったこととの記憶が重なって、深海魚というものを食すのをとても恐れていたのである。
それが何故、果敢にも金目鯛を取り寄せようと思い至ったかといえば、それはメディアの効果といわざるを得ない。
ちょうど毎日聞いているラジオの番組で、グルメお取り寄せコーナーなるものがあって、そこでたまたま金目鯛のしゃぶしゃぶをやっていたのだ。
それがあまりにおいしそうで、場合によっては、視覚よりも聴覚のみで想像力に訴えかけたほうが効果を得る場合があると知った。
それでまんまと取り寄せてしまったのだ。
小口にきったあさづきと、紅葉卸をぽんずに落としてたれをつくり、だしにくぐらせた金目鯛の、透き通った薄い一片をつける。
あまりに脂が乗っているのに驚いた。
思っていたより癖もなく、臭みもまったくなかった。
それですっかり金目鯛にはまってしまったのだ。
しかしスーパーに売っている金目は大抵開きの干物だし、切り身が売っていても目が濁っていたり腹のところが柔かったりと、なかなかよいものに出会えない。
とはいうものの、取り寄せの金目がベストな状態だったかと問われればそんな筈もないわけで、結局のところ違いなんてわからないのではないか、と自分の舌を疑っているのも事実である。
いずれ、どこぞの料亭で食べたいものだ、と常々考えている次第である。
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